松茸の土瓶蒸しを家で作るときの注意点
松茸の土瓶蒸しは、材料が少ないぶん、食材の状態と火加減がそのまま結果に出る。国産松茸が手に入る十月から十一月上旬の短い時期に、一度は丁寧に作ってみる価値がある料理だ。
松茸の選び方
傘が開ききっていないものを選ぶ。傘が開くと香りが飛びやすい。軸は太く、断面が白いものが新鮮だ。購入後はすぐに使うのが基本で、保存するなら新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室に一日まで。
輸入品と国産品では香りの強さが大きく異なる。土瓶蒸しのように出汁に香りを移す料理では、国産を使うと仕上がりの差が出やすい。
出汁の引き方
昆布は利尻産を水から入れ、六十度で三十分かけてゆっくり引く。沸騰させると昆布の粘りが出て、出汁が濁る。昆布を取り出してから、かつお節を加えて一分で引き上げる。
塩と薄口醤油で味を整える。松茸自体に塩気はないので、出汁の味付けがそのまま全体の印象になる。薄めに感じるくらいがちょうどよい。松茸を入れてから味が変わるためだ。
土瓶での蒸し方
土瓶に出汁と松茸を入れ、蓋をして中火にかける。沸騰直前で火を弱め、そのまま三分。強火にすると松茸の繊維が締まり、香りが飛ぶ。
柚子の皮を一片、土瓶の口に添えて供する。食べる直前に絞ると、香りが立つ。三つ葉を一本加えると、色と香りの両方が補える。
土瓶蒸しは、松茸の状態が良い年ほど、余計なことをしないほうがうまくいく。出汁と松茸と柚子、それだけで十分な料理だ。